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 No.4「リサイクル品と知的所有権」カメラに関する特許 

弁理士 吉田 芳春

最近は旅先に重たいカメラを持参しなくても、駅の売店やお土産屋さん等で手軽にカメラを購入し、面倒なフィルムの詰め替えをすることなく、簡単に記念写真を取ることが出来ます。F社の「写ルンです」(商品名)をはじめとする、いわゆる「使い捨てカメラ」です。

この「使い捨てカメラ」は、発売から約12年が過ぎ、今ではリサイクルの観点からLF(レンズ付きフィルム)と呼ばれ、回収したボディーに新しいフィルムを詰めて再利用されています。しかし、このLFのリサイクルを巡って、知的所有権の侵害か否かが争われたことはご存知の方も多いかと思います。今回は、この問題についてご紹介します。

事件の背景
1.まず、LFのリサイクルの流れを、図に基づいて簡単に見てみます。正規品のLFを購入した人は、購入したLFで記念写真等を撮影し(A)、フィルムがなくなると、この購入者は撮影済みのLFを本体ごとカメラ屋さんに持参して現像を依頼します。

camera01.GIF (8322 バイト)
現像所では撮影済みのフィルムがLFから取り出されて(B)現像され、LF本体は回収されることになります(C)。

camera02.GIF (7478 バイト)
そして、回収されたLF本体には、新たにフィルムが詰め替えられ(D)、この詰め替え品は、再び撮影可能な状態となって発売されます。(E)

camera03.GIF (8282 バイト)  ――――>   camera04.GIF (5802 バイト)
2.このようなリサイクルの流れの中で、正規品の製造・販売業者による撮影済LF本体の回収率は、現在7割前後です。従って、その回収しきれなかったLF本体を利用して、リサイクル品業者が詰め替え品を製造・販売していることになります。

3.そして、F社はこのリサイクル業者の行為に対して「写ルンです」に関する特許権・実用新案権等の(例:実用新案登録第1951715号等)を侵害しているとして、製造・販売等の差し止めを求めたものです。

「消尽理論」
このようなケースで問題となるのが、特許権についての「消尽理論」です。
「消尽理論」とは、技術を含み特許権を有した商品が対価を伴って第三者に渡ると、その時点で権利が消滅してしまう場合があるという考え方です。この理論の原理の根拠は、第三者は購入時点で対価を支払っており、この対価を回収する行為として第三者の実施行為を認めるべきであり、仮に購入後の行為にも特許権の効力が及ぶものとすると、対価を支払ってまで特許品を購入するものはいなくなり、却って権利者の利益が害されてしまう、という点にあります。従って、消尽理論の典型例として挙げられる「特許品の修理」の場合、対価の回収行為の範囲に属する行為、例えば部品の清掃等には権利の効力が及ばず、そして他方この範囲を逸脱するような行為、例えば部品全面的な取り替えには権利の効力が及ぶとされています。
しかし、LFのリサイクルのように取り替えを前提とした製品についても対価の回収行為を基準とした消尽理論を展開するのは不適切であり、取替える部分が発明の主要部分であるか否かを基準にすることが適当と考えられます。

結論

このようなリサイクル品と知的所有権に関する問題は、例えばワープロのインクリボンカセットとか、車のタイヤ等、様々なケースが考えられます。明確な判例もなく、広がるリサイクルブームとの関係で、今後さらなる展開が注目されます。

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