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ドア・引戸・折戸などの建具金物、クローゼットなどの収納の金具や家具金物、手摺や物干し金物など「住まいの金物」の製造、販売。

 吉田先生の提言 

 特許経済大国への道 

吉田 芳春(吉田国際特許事務所 所長弁理士/弊社顧問
雑誌「Voice」(PHP研究所) 平成9年7月号より

日本の経済力はけっして停滞していない。日本の経済力の頂点である技術的生産基盤は残っているし、技術的な研究開発の成果である発明の数(考案の数を含む出願件数)をみても世界一である。発明数の多さは日本人の知的創作活動が高水準に属するものとして誇りとすべきところだ。日本人は懐疑的になる必要はなく、各自が自覚していない優秀な知的創作能力を眠らせているだけである。

そこで、発明の数から考えてみると、昭和62年には約54万件と世界の半分弱を記録しており、アメリカの約13万件とは大差があった。「技術立国」という言葉も使われていた。平成5年には約44万件除となったが、アメリカの約19万件とは依然、差があり、世界の出願件数の約29%を占めていた。平成7年には約38万件に減少したが、それでもアメリカの約24万件を上回っている。

発明の数

一方では、「日本の発明はアメリカに比べて基本的発明が少なく、出願審査請求制度(請求しない出願は審査されずに取り下げとなる)の利用率が約60%と低い」との批判がある。

ちなみにアメリカの制度では、全出願を審査することになっているにもかかわらず、日本は自国民出願率(自国民と外国人が特許庁へ出願する割合)が90%と高いのに対して、アメリカは約50%強と低くなっている。自国民出願率が低いためにアメリカ国内では、「アメリカ人の税金で審査官を雇って外国人のために特許権を付与するのはおかしいではないか」との批判の声があがっているほどだ。

平成7年に付ついていえば、実用新案登録出願件数1万5千件を差し引いた上で審査請求率(日本のみ)と自国民出願率とで発明数を掛けると、日本が約20万件となり、アメリカが約13万件となる。発明の数を実質的に見ても、日本人は世界一である。

古くはジパングと呼ばれて世界に金産出量を誇っていたが、重要な国家資源である金や銀は枯渇してしまった。明治時代はゼロからのスタートであったが、工業所有権制度を採用して外国技術の導入を図り、技術力を蓄積していった。しかし、敗戦によって約1千兆円の内外資産喪失したといわれ、有形な国家資産が無くなってしまった。あえて無形な知的財産を洗い出してみると、蓄積した技術力と教育レベルしかなかった。この知的資源を利用すべく、電力を整備して工業生産を再開し、右肩上がりの経済発展に成功してきたのである。

アメリカを見ると、対外一般貿易は赤字に転落したが、特許料収入等の技術貿易は黒字であった。そこで当時のレーガン大統領は、この技術貿易に着目し、知的財産権を軍事、政治に続く第3の力として位置づけて強化を図った。現在の強いアメリカは、知的財産権によって下支えされているのである。

ここで、ただちに実行に移せる基本的対策を提示したい国家的取り組みは科学技術基本法や特許庁に委ねられるので省略する。

第一に、学校教育の中で特許制度について勉強する機会を増やすべきである。制度全体については弁理士等の特許専門家をあて、発明の仕方については発明家をあてることができる。100件以上の発明をした発明家であれば、実例を挙げて容易にハウツウを伝授可能である。将来的には必須科目とするのが望ましい。

第2に、学生の個人出願については費用がかからないようなシステムを構築するべきである。たとえば奨学金制度を採用したり、学生の発明を入札させて企業が支払うなどの方法が考えられる。

第3に、職務発明については従業員への報奨金の最低金額を高めるべきである。各企業や専門家によるガイドラインも求められる。

いずれにしても、日本人の優秀な頭脳を組織化して創作活動ができる雰囲気を作ることが肝心である。

地道な活動を継続すれば、現在以上の発明数となり、質的にも高い発明が育つことに繋がる。数年先の日本は、ハイレベルの知的国家資源が多数蓄積された特許経済大国に生れ変っている。

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