缶詰

缶詰とは、食品などを缶や瓶に密閉し、加熱殺菌をしたものです。また食品以外にも使用されています。

缶の内側コーティング

金属の成分が食品に浸透しないように缶の内側にはコーティングが施されています。コーティングの素材には、最近ではポリエステルフィルムなどが使われています。
また内部に特殊コーティングを施す技術も進んできました。

缶詰の始まりは?

19世紀初めのヨーロッパで食料品を長く保存するために考えられたのが、瓶詰め保存です。その頃ナポレオン・ボナパルトは軍隊の遠征において、兵隊へ供給する食糧に関して問題を抱えていました。この当時の保存方法は塩漬けにするか燻製、または酢漬けが主なものでした。この方法では味も悪く食材の腐敗も多かったのです。そこでナポレオンは、軍が携帯で持ち歩ける方法を考えるようにとアイデアを公募したところ、画期的な保存方法が出てきたのです。
その保存方法が瓶詰め保存、1804年、ニコラ・アペールが食材を瓶の中に入れてから瓶の口の部分にコルクで蓋をして密閉し、さらにお湯の中で加熱殺菌する方法を考案。栄養豊富かつおいしい保存食を提供することに成功したのです。当時ビタミンC不足に悩まされていた海軍では、この瓶詰めの保存が体操重宝されるなど、軍隊で使用されるようになりました。その後イギリスで、商人のピーター・デュランドが鉄製の缶の中に食材を入れて加熱処理する現在にもつながる方法を考案しました。

日本での始まりは?

1871年、長崎で、実業家の松田雅典がフランス人教師レオン・デュリーの指導を受け、いわしの油漬缶詰を日本ではじめてつくりました。また1877年には北海道の開拓使石狩缶詰所が缶詰の製造を開始しました。大正時代には魚や果物を缶の中に入れた製品が誕生し、海外へ輸出されはじめました。その後、国内にも流通しました。

どれくらい長く保存できるのか?

通常、賞味期限としては、果実などは2〜3年、野菜でも同じく2〜3年、魚や畜産物では3年が設定されています。日本最古の缶詰は79年前のお赤飯の缶詰。香川県の小豆島で発見され、今ではミュージアムにて展示保存されています。イギリスではさらに古い缶詰が発見されています。
1938年、北極圏に持ち込まれた食料品の缶詰が、湿気も少なく直射日光も当たらないまま未開封で発見されました。当然賞味期限も消費期限も切れていましたが、缶を開けると、中身は異臭もせず腐った様子もなく、問題なく食べられたそうです。

賞味期限と消費期限の違い

ふだん皆さんが目にするのが、賞味期限だと思います。これはあくまでも缶詰の中身が「おいしく食べられる」という、日持ちの設定の期限です。期限が過ぎた商品については、おいしさは保証できません、ということなのでしょう。これもあくまで目安です。
では、消費期限はどうでしょうか?消費期限は「安全に食べられる」期限の目安です。ただし保管場所や環境により、消費期限が短くなることも考えられます。

缶詰の開け方の変化

その昔は、ハンマーでたたき割って缶詰を開けていましたが、その後、さまざまな缶切りが登場。今では缶切りが不要の「イージーオープンエンド」が主流になっています。

風変わりな缶詰たち

出典:アトムニューズ217号 7-8ページ
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