温度を測る

いまだに続くコロナ禍では、体温を測ることも、今や日常となりつつあります。体温を測るには、昔であればおでこや身体を触り、いつもと違うことを感知し、熱ければ濡れた手ぬぐいを額にのせ冷やしたりしていました。今では体温を測るさまざまな検温器が登場しています。

体温を測る

1609年、イタリアのサントリオが、ガラス管の中に液体を閉じ込める方法で、検温器の原型を考案しました。
その後1714年、ドイツの物理学者G・D・ファーレンハイトが水銀を使った華氏温度計を発明。人間の体温が平均96度であることを実証しました。しかし日本では華氏ではなく摂氏(スウェーデンの天文学者セルシウスが提唱)の単位を採用して、平均体温が36度とされました。
現在のような水銀体温計は1866年、ドイツの細菌学者C・エールレが考案し、その後日本でも普及していきましたが、水銀を使うことについて、人体・自然環境への有毒性が問題視され、全世界で製造販売が中止されました。その次に登場したのが、すばやく反応する電子体温計です。

料理と温度

プロの料理人にとって調理の温度はとても大切なものです。野菜を炒めたり、麺を茹でる際、硬さを調節したり、また天ぷらを揚げる際の油の温度など、とても繊細な温度管理が要求されます。プロの料理人は、昔は経験値を生かしながら勘を頼りに天ぷらを揚げていました。
イタリア料理でもパスタの茹で具合はやはり長年の経験と勘を頼りにしていましたが、今では新人でも温度管理ができる、さまざまな種類の温度計があります。経験と勘が乏しい新人でもベテランと同じ味が出せるように料理専用の温度計が増えてきています。

工場の温度管理

高い温度を必要とする施設といえば、溶鉱炉などがありますが、炉内が高温に達するため、鉱炉の側面に開けられた小さな穴から内部を覗きこむように放射温度計などを用いて温度を測定しています。また溶鉱炉から流れ出す溶けた鉄は約1,500度にも達しているため直接温度を測ることは不可能なので、近くに設置されたサーモグラフィーで温度を測定しています。

熱電対温度計


熱電対温度計とは、ふたつの異なる金属を接続して回路を作り、それらの金属間に温度差が生じると、その回路に電圧が発生し熱起電力を計測することができる温度計です。
使われるおもな金属は、ロジウム、ニッケル、白金、銅、鉄などの組み合わせにより-200度から1,700度まで計測することができる。

温度こぼれ話

想像を超える温度が、この世には、存在していることがわかりますね。

出典:アトムニューズ214号 7-8ページ
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