ダンボール

ダンボールとは、ボール紙とボール紙の間に波形の中芯と呼ばれる紙を加え、強度を持たせたもの

ダンボールの始まり

私たちの生活のなかでダンボールは、宅配便の梱包など、毎日のようにお世話になっています。
では、この便利なダンボールの始まりはいつだったのでしょうか?ダンボールは1856年、イギリスで誕生しました。
通気性を高め、またクッションの役目として、シルクハットの内側に波形のダンボールの中芯を入れたのが始まりと言われています。
日本では1909年に井上貞治郎が、ボール紙に段をつけた「繰りっぱなし」のダンボールの製造に成功したところから始まります。この紙の素材に対して井上が「段ボール」と名付けました。
ダンボールの最大の利点は、再生紙を利用できるエコな素材であることです。昭和初期には、日本では梱包は木の箱を用いることが一般的でした。しかしアメリカから輸入される電化製品や化粧品など、あらゆるものがダンボールで梱包されていることに影響を受け、日本も徐々に木の箱からダンボールの梱包にシフトしていったのです。ダンボールを使用することのよりコストも下がり、箱の強度も木の箱と同等レベルの域に達しました。
ダンボールの需要は第一次、第二次世界大戦そして朝鮮戦争を経て一時的なピークに達しました。リーマン・ショック時には、需要が急減小したものの、現在ではダンボールは生活の必需品となっています。
また環境意識の高まりから、梱包には発泡スチロール*からダンボールへのシフトが進んでいるようです。

*発泡スチロールとは、石油からできた気泡を含ませたポリスチレン

特殊なダンボールの始まり

アメリカのダンボールはベトナム戦争の時にも活躍しました。地上に補給するために、空から落下させても、ダンボールが衝撃を吸収して補給物資に支障が起きなかったとされています。
ちなみに、このような特殊なダンボールは、強度が高く使い手は良いですが、決して安価なものではありません。

ダンボールは1段から3段までありますが、3段ダンボールはその頑丈さから、機械系の梱包や貴重品の搬送などに使われています。

進化を続けるダンボール

段ボールで作ったおもちゃの家や椅子、テーブル、遊具など、その活躍の場所は多岐にわたります。梱包用ダンボールも、自転車を入れるほどの大きなものから小さな電球を入れる小型のものまで、サイズもさまざまですが、共通して言えることは、平面のコンパクトな状態から組み立てて商品を完成させるということです。

ダンボールは、SDGs(持続可能な開発目標)のお手本となる素材

本来、日本という国は、平安時代から高価な紙を回収して再生させる生活をしてきたといわれています。
その精神が、時代を超えて現代に受け継がれ、世界中の共感を得ていることは、うれしいことですね。

出典:アトムニューズ216号 7-8ページ
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