ネジ回しとスパナの先端の形

ネジ回しやスパナは、ねじやボルトを回して締めつける時に使う道具ですが、この道具の進化により、ねじやボルトは格段に使いやすくなってきています。

ネジ回しについて

ねじの変化は、そのまま工具の変化に反映されてきました。大きなねじには、そのねじを回せるだけの力が必要となってきます。
精密な機械であれば、ねじ頭の溝に合った先端のねじ回しが必要となってきます。通常私たちがよく見かけるものとして、マイナスやプラス野茂のがありますが、ほかにも、四角いものや六角のものなど、用途に応じて様々な形が存在しています。とくに*トルクがおおきい時には六角を使います。最近ではねじ回しの先端に磁気を持たせ、小さなねじなどが作業中に落ちて紛失することが、避けられるようになっています。
*トルク=回転させようとする力

どうしてねじ回しの取っ手は太いの?

小さなねじの先端にねじ回しの先端を噛み合わせて回すわけですから、とても大きな力が先端に加わることになります。そこで、まずはじめにマイナスの溝から始まりましたが、マイナスの形状では大きな力が加わるとねじ頭の溝からねじ回しが外れ、その時に溝が壊れることがあります。次に考え出されたのがプラスの溝でした。
現在一番多く使われているのが技術の進歩で作られ始めたプラスのねじです。当然それを回す工具もプラスのねじ回しになるわけです。では、ねじ回しの取っ手はどうして太いのでしょうか?
その疑問の答えは、子どもの頃に野球のバットを太い方と細い方を持って回し合う力比べになぞられることができます。太い方を持つ子どもと細い方を持つ子どもでは、どちらが勝つことができるのか?
答えは太い方を持つ子ども。
太い方を持つ子どもは少ない力でバットを回すことができますが、細い方を持つ子どもは、バットを回すにはとても大きな力が必要となります。

レンチ(スパナ)

レンチはボルトやナットを回転させて締める工具ですが、ボルトが使われているところが多岐にわたるため、用途に合わせてレンチの柄を長くすることがあります。車のタイヤを外す時に使うタイヤレンチもその一例です。
手で回して締めると締まり具合が分かりやすいのですが、*電動の場合、ねじを壊すほどの回転力(トルク)が加わる場合があるので、それを防ぐためにトルクレンチが使われてます。トルクレンチは目盛りに合わせてトルクの数値を決めることにより、適正な力でボルトを回すことができるのです。
*電動の場合 トルクの数値が設定できるものもあります

国民性があらわれる工具たち

私見ですが、アメリカの工具は無骨ながら丈夫さが際立っています。またイタリアなどの工具は、やはりどこかエレガントで取っ手の色も独特です。その点、日本の工具は几帳面で使い勝手の良さを追求したところが特徴かもしれません。

便利になった電動ねじ回し

電動ドリルは、さまざまな用途で使えるようになりました。
先端のジョイント部分にマイナスやプラスドライバーを差し込めばねじ用に、また電動レンチにもなりボルトやナットを締めることができます。
各種の六角ソケットも電動ドリルを繋ぎ使用できます。

ひとくちメモ

ねじ山が潰れた場合、広めの輪ゴムをねじ山へのせてその上からねじ回しを強めに押し詰めて回すと、簡単にねじを回すことができますよ。

出典:アトムニューズ204号 7-8ページ
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