家の中をワープする空間「階段」

二階建ての家を建てるとき、階段は一階と二階を繋ぐ大切な役目を果たします。設置する場所によっては、家の中の動線がおおきく変わってしまうなど、階段は頭を悩ます空間である一方、とても魅力的な世界を演出できる空間でもあるのです。

命を守るはしご

むかしアメリカ先住民のプエプロインディアンの人たちは、入り口を1階には作らず、2階に配置していました。その理由としては、的からの攻撃があったときに、素早くはしごを2階に上げてしまうことで、家が要塞のような役割を果たしたのです。

建物は時代と共に上に成長しそれに応じて階段も変化していく

遺跡の洞窟を見ていると内部空間の上への移動には岩を削り、また石組みなどで階段が造られていました。また木のはしごも多く使われてきました。
階段も時代とともに素材がかわり、金属やコンクリートなどに変化してきました。

学校の階段にはなぜ踊り場があるの?

大人が小学校の階段を上ると、段差が低いので、歩きづらいと感じませんか?これは児童の体型に合わせて階段の建築仕様が定められているからです。
階段の踊り場は、たとえば高さが3mを超える場合3m以内ごとに踊り場の設置が建築基準法で定められています。決して人が踊りを踊る場所ではなく、小休止と転落止めの場所なのでした。

さまざまな階段の種類と特徴

必要に応じて考えられた階段

階段下も大切な家の空間

階段の下の空間をどのように使うかは、建築設計の知恵の見せどころです。トイレ、物置、収納引き出しなどなど。また変わったものでは階段ごと移動できるものまであります。

屋根裏までの折りたたみ式の階段

アンネ・フランクの隠し階段ではありませんが、狭い空間を利用したコンパクトな階段はやはり知恵の産物でしょうね。

映画の舞台のような豪華な階段を歩いてみた

私の経験ではニューメキシコ州のギャラップにあるホテル、エル・ランチョに映画に出てくるような豪華な階段がありました。西部劇が盛んな頃ジョン・ウェインなどが映画撮影に利用していたホテルです。ちなみに各部屋には全て有名な俳優の名前がついていました。

高層ビルが数々できても必ず階段は残る

現在、日本で一番高い階数を有するのは大阪あべのハルカス60階ですが、この高さの昇降となると当然エレベーターを必要とします。
時代と共に階段から電気昇降機(エレベーター)へと代わってきたわけですが、そのビルでも緊急の手段として人間の足で上り下りできる非常階段は必ず残ります。

出典:アトムニューズ194号 7-8ページ
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