あなたのお家の「床」はどうですか?

おそらく、あなたの家の床は板張りのフローリングではないですか?初めて部屋のドアを開けるとまず視界に入るのが壁と床です。家具のない状態では床が部屋の表情を決めてしまいます。
板の床に暮らすのか、畳の部屋に暮らすのか、または欧米のように部屋の中を土足で生活するのか。それにより大きく生活は変わってきますが、あなたはどれを選択しますか?

土間と床

ひと昔前の日本の一般的な家には土間があり、靴などを脱ぐための上がりはながあり、その先に板の間が続き、その後畳の間に続きます。これら一連の流れは、足の汚れを畳の間に持ち込まないための知恵でもあったのです。

土足の国と裸足の国

石の建築物の中を土足で生活する欧米の人たちの床はタイルが主流です。それに対して木造の家に住む日本の住宅は、靴を脱ぎ裸足で床へ上がるのが当たり前です。海外へ行くとこの違いがよくわかりますが、この文化だけは大切にしてもらいたいものです。

なぜ日本人は昔、椅子を使わずに座っていたのか?

昔は家族全員が、6畳や8畳の間で食事をし、また布団を敷いて寝ていました。
つまり椅子などの邪魔になるものを置かず、部屋として何通りもの使い方ができる、座る生活スタイルを選択したのでしょう。

畳が織りなす物語

アトムでも以前畳を扱っていたことがありますが、畳というものを使う文化は日本固有のものです。乾燥した稲穂を固めた畳床の表面にイグサを使い製作します。畳の形は2:1の比率で構成され、4畳半や6畳などのそれぞれの場所に応じた並べ方ができるのです。
昔、畳はお金持ちの持ち物でした。祝儀や不祝儀のときだけ敷き、普段は敷いていませんでした。

魔法のジュータンがやってきた

ジュータンは秀吉の時代、中国から入ってきたようですが、一般家庭に入ってきたのは、昭和のはじめ、応接間というものが家の中につくられてきてからかもしれませんね。

畳の間と板の間の段差をなくす

近年畳の間を持つ家が減少しています。
日本人は畳の良さを知っているのでなくなることはないでしょうが、板の間と畳の間の段差に足を取られ転びそうになった経験はありませんか?
この点も最近では高齢者のためにバリアフリーの考え方を活かした、段差のない造りが当たり前になってきています。

日本人はどうして板張りの床が好きなの?

天然の木には素材に触れる心地よさがあります。加えて、昭和の人には、日向ぼっこをした縁側の記憶も、板張りの床の良さを忘れられない理由のひとつかもしれません。(私だけですか?)

これからも床は、私たちを楽しませてくれます。

ますます、多様化する床、土間がありタイルの間があり、板の間があり、ジュータンの間があり、畳の間がある、これからの『床』は気分に応じ楽しめる。とても贅沢な空間になるかもしれませんね。
※ 床は素材により、それぞれの長所が発揮されます。

出典:アトムニューズ193号 7-8ページ
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