素材を知る「銀」

鏡の裏に隠された謎とは?

歴史的に見ても銀は、金と同じように人々が追い求めてきた金属です。ラ・プラタ川(アルゼンチン・ポルトガル語で銀の川)、タスコ(メキシコ・銀の採掘によってできた街)など数えればきりがないほど地名などに使われています。銀は過去から現代においても人類にとって特に身近な金属なのかもしれません。アクセサリーとしてはもとより、食器として生活一般に幅広く使われてきました。
また昔の権力者は多くの場合、銀の器を持ち歩いていました。チンギス・ハーンも敵と和議を挙げる時には自ら銀の杯を差し出しました。その理由は、銀は毒物に対して敏感に反応するため、もし毒を盛られた場合器の中が変色するからです。
それに加え、銀には優れた殺菌力があり、それは塩素の約10倍あるといわれています。
日本には「○○銀座」と名付けられた商店街が各地にありますが、元祖はやはり東京の銀座です。銀座は江戸時代に幕府の銀貨鋳造所がこの地にあったことから名付けられました。
もうひとつ銀でおもしろい発見といいますと、鏡をほんの少し斜めからよく見ると光の具合により顔が二重に見えることがあります。これは乱視になったわけではなく、鏡のガラスの裏側に塗られた硝酸銀(銀を硝酸で溶いた溶液)の皮膜とガラスの表面に同時に自分の顔が映し出されることによるものです。

出典:アトムニューズ192号 8ページ
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