圧力ってなに?

以前から気になっていたことのひとつに、空気や水などの圧力があります。それらがさまざまな場所で作用し、私たちの暮らしに役に立っていることは知っていますが、しかしどのようにこれらの力が作用しているのかわかりませんでした。そこで今回は圧力のしくみを紐解いていきたいと思います。

パスカルの原理


パスカルの原理は、1653年m哲学者であり発明家でもあるブレーズ・パスカルにより発見されました。
連結され、密閉された太さの異なるふたつの管があります。細い管のピストン(円筒状の部分)に力を加えると、太い管の方に、より大きな力をかけることができます。これがパスカルの原理です。

空気の圧力を利用する


空気圧を利用したもので、とてもわかりやすいのが食品工場の自動生産ラインです。たとえば材料を適量供給したり、エアーで吸い上げて移動させたりする機械の中で、空気圧が使われています。
また、ドイツの機械メーカーが考案した、空気圧を利用してものをソフトに掴むロボットハンドなども出てきました。さらに、医療の分野では、柔らかく反応する空気の特質を生かし、内視鏡(空気圧駆動型内視鏡ホルダーロボット)にも空気圧が利用されています。
つまり空気圧を利用する利点は、空気の柔軟性にあります。弾力性のある素材を使用した指の中の管に空気を入れ、そこで空気の出し入れをすると指の末端まで空気が行き渡り、柔軟に指を動かすことができるのです。

水圧を利用する


水圧で思い浮かぶのが水鉄砲かもしれませんね。竹筒の先端に小さな穴を開け中に水を入れ、そこに布などを巻いた棒を差し込み水を押し出すと、水は小さな穴から勢いよく放出されます。
水圧を利用した特別な車が消防車です。消防車は車の中で水圧をかけているので水が勢いよく放出されるのです。
また、ダムによる水力発電もダムでせき止めた水を落下させ、水の勢いの力でタービンを回し、そのエネルギーを電気に変えているのです。

油圧を利用する


油圧の分かりやすい例が車のブレーキです。車は足でブレーキペダルを踏めば止まります。当たり前だと思うかもしれませんが、よく考えると、重量のある車が時速100キロで走行しているときでも、片足のつま先でブレーキペダルを踏めば止まります。これはこれでとても不思議なことです。
しかしそこにはてこの原理も加わり、大きな力が働いているのです。
ブレーキには非圧縮性流体(ブレーキオイル)が使われます。水ではなくオイルを使う理由は、水ではブレーキの摩擦熱で沸騰し気化し泡が発生してしまう恐れがあるからです。こうなるとブレーキは不安定になり想定通りに車を詰めることができなくなるため、オイルが使われているのです。

ダンパー(ショックアブソーバー)

ダンパーのシリンダーの中には下津とガスが装填されています。その内部にロッドと呼ばれる主軸棒が入っており、その先端にピストンが付いています。オイルとガスが装填され、そこに一定の力が加わると、その動きに合わせてオイルの中のピストンがゆっくり移動するので減衰力が働くことになるのです。
ダンパーは多くの所で使われています。大きなものではビルの免震耐震構造に使われたり、車のシャフトに使用されたりしています。また小さなものでは、キッチン戸棚の内側などにも使われています。

出典:アトムニューズ207号 7-8ページ
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