素材を知る「アルミニウム」

金属の「新人」誕生

アルミニウムといえば、私たちの生活に深く浸透している素材といえます。周りを見渡すと、アルミホイルや窓のフレーム、アルミ缶、自転車のフレームなどアルミ製品がたくさんありますが、皆さんの財布の中で必ず1枚は目にする1円硬貨もアルミニウム。じつはこの硬貨、つくるのに2倍以上のコストがかかっているのです。つい最近も、ある国の人がアルミ素材に使うため日本の1円硬貨を大量に自国に持ち帰ったという噂が、まことしやかに流れていました。
このように私たちの生活になくてはならないアルミニウムですが、使われるようになったのは、ほんの100年ほど前ですから、比較的新しい金属といえます。また、最近よく耳にする「チタン」という金属は、1910年に鉱石から取り出す方法が見つかったばかりなので、いわば金属の「新人」といえるでしょう。このふたつの金属の登場により合金が作られるようになり、軽くて丈夫なアルミニウムのチタン合金も誕生しました。
アルミニウムを作るにはまず、鉱物のボーキサイトを水酸化ナトリウムで処理し、アルミナという酸化アルミニウムを取り出します。その後で氷晶石と共に融解し、電気分解を行います。その際、大量の電力を消費するため、アルミニウムのリサイクルが叫ばれているのです。
純粋なアルミニウムは強度が小さいのですが、ジュラルミンやアルミニウム合金などになると俄然、強度が増すことにより、使われる頻度が高くなるわけです。それにアルミニウムは白色の金属で熱伝導性がよく、また加工もしやすく腐食に強く、かつ軽量という特性があります。

出典:アトムニューズ189号 10ページ
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