はしご(梯子)

持ち運べる階段、はしごは高いところにある物に手が届かないときに役立つ道具です。

ネアンデルタール人のはしご

今から約6万4千年前、スペインのラ・バシエガの洞窟壁画のなかに、ネアンデルタール人によるはしごらしき描画が見られます。
おそらく壁の高いところへ絵を描くのに使っていたのでしょう。人類は大昔から、はしごを使っていたと想像できます。

日本の弥生時代

家を建てるとき、はしごがなければ屋根の上に登れません。2本の縦棒(支柱)に足を置く横木を渡して作られた木製の道具、身近であり世界有で使われてきた道具、それがはしごです。
そして日本では弥生時代に穀物の保管のために高床式の倉庫が造られ、その入り口まで登るため、木で作られた階段状のはしごが使われていました。

長ばしごの登場

歴史を振り返ってみると、世界中の戦いではしごが使われてきました。たとえば中世のヨーロッパの城郭、中国の城壁、また日本の城も、場内に攻め入る際には長いはしごが不可欠だったのです。
日本の戦国時代の兵器『行天橋』(ぎょうてんばし)や忍者の道具として『結橋』(ゆいばし)『飛び橋』(とびはし)『巻橋』(まきばし)などが使われていました。
現在では長ばしごといえば、戦いではなく救助のための消防車や工事現場で使われるはしごが主になってきています。素材も木製のはしごから持ち運びに便利な軽いアルミ製に変わってきています。

江戸の火消し

江戸時代の火消しは、はしごを担いで火事の現場に向かうので、青竹の支柱に横木を渡して作られた軽いはしごで屋根に登り火を消します。
また火消しは屋根の上に乗り、燃えにくい刺子の消防服の上から水を被り、消火活動するほか、火事の延焼を防ぐために家を壊したりしていたのです。
現在、江戸時代の火消しの勇姿は正月の出初式において見ることができる消防士のはしご乗りの演技くらいなものでしょう。

アルミ製脚立の登場とはしご車

アルミ製のはしごや脚立は軽いことと、折りたためることで持ち運びの範囲が広がっていきました。
また自立して作業ができるという利点も持っています。
さらに消防のはしご車などは、アルミ合金により幾重にも屈折・収納されたはしごを搭載。これを油圧とワイヤーで約40mまで引き延ばし消火活動をすることができるのです。

出典:アトムニューズ222号 7-8ページ
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