クランクにまつわるはなし


かつて映画は、フィルムを装填した撮影機によって撮られていました。
撮影機のハンドルを回すことにより、機械が動き出しフィルムに映像が焼き付けられるのです。撮影機にはクランクと呼ばれるハンドルがついておりそれを回すと撮影が開始されます。そのため撮影開始を『クランクイン』と呼び、撮影が終了するとクランクを折りたたむので、撮影終了を『クランクアップ』と呼ぶようになったのです。(日本の場合)

形状からみたクランクのはなし

クランクとの出会い


私たちが日常でクランクという言葉に出会うのは、クランクボルトレンチなどの工具類が多と思いますが、じつは自転車もクランクとの関わりが少なくありません。
自転車は、チェーンホイールと呼ばれる回転部分の中心から、クランクと呼ばれるアームが延び、その先にペダルが付いています。このペダルに力を加えることによりチェーンホイールが回転しチェーンが後ろの車輪に力を伝え、自転車は動き出します。
つまり、ペダルとクランクが一体化した部分において力のモーメントが発揮されることにより動くしくみなのです。ふだん当たり前のように乗っている自転車ですがとても優れた機構といえます。

自転車のクランクとペダル

身近なクランク

機構から見たクランクのはなし

クランクとは?

クランクのしくみは、トルコのアル・ジャザリという学者・発明家により広く知られるようになりました。
アル・ジャザリは、クランクシャフト(往復直線運動を回転動に変換する、またその逆に変換する部品)を最初に組み合わせた人物です。

歴史を変えた、蒸気機関から車のエンジンへの進化

18世紀、イギリスから始まった産業革命の中で、特出しているのがワットが考えた蒸気機関かもしれません。それを応用した蒸気機関車っでは、石炭を燃やしボイラータンク内の水を沸騰させ蒸気を発生させます。蒸気は液体の1700倍に膨張し、その力を使ってピストンを左右に押します。この動きにより、車輪と繋がったクランクシャフトが動き機関車が動くのです。
それと前後し、蒸気機関はアメリカで自動車の動力として小型化され発展していきました。
かつては車も蒸気式の動力を使いましたが、その後、鯨油を燃料に使ったものに替わります。エンジン内で爆発を起こしピストンの上下動によりシャフト(回転軸)を動かすしくみなのですが、この時エンジン内ではクランクが大きな役割を果たし、タイヤに繋がるシャフトを回転させているのです。
しかし、近年自動車は、内燃機関で走る車から、電動モーター式に変わろうとしています。

クランク仕掛けのカラクリ人形


これは私が製作した『ダンスダンス』というからくり人形ですが、取っ手のクランクを回すと、中にある3Dクランクが同時に回り出し、その連動部分から作用し図の赤い棒に動きが伝達されて動き出す仕掛けです。

内燃機関の中で使われているクランク

出典:アトムニューズ209号 7-8ページ
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