素材を知る「金属メッキ」

メッキは素材を守る

メッキとは、外来語ではなく日本の言葉です。元来は、塗金ときんと呼ばれていました。その後、金が水銀に溶けて見えなくなることから滅金めっきん、さらに滅金・鍍金めっきと呼ばれるようになりました。ではなぜメッキを施すのでしょうか?その理由は3つあります。ひとつは素材をサビ(腐食)から保護する目的。ふたつめは装飾メッキ。たとえば車のエンブレムなどのように、見た目を美しく仕上げる目的。3つめが昨日メッキ。電子部品などに利用され、メッキを施すことで電気的、光的、熱的、光学的、機械的、物理的に機能を高めることができます。今やメッキが無ければパソコンも動きません。

メッキの歴史は古く、紀元前1500年、メソポタミア文明では腐食しやすい鉄の装飾品に溶かしやすい錫を塗布することでメッキとしました。日本では、奈良時代に東大寺の大仏に水銀と金粉を混ぜた合金(アマルガム)を全体に塗り、その後、松明などで表面を加熱すると水銀だけが蒸発し、表面に金の膜だけが残るアマルガム法でメッキを施していたのです。1800年にはイタリアで電池が発明されて、それにより電気メッキが可能となりました。日本初の電気メッキは、1855年に薩摩藩の島津斉彬がダニエル電池を使って甲冑品に金メッキや銀メッキを施したものと言われています。

出典:アトムニューズ200号 8ページ
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