扉を開ける「丁番」

いろいろな扉類を、枠や箱に取り付けて軽く開け閉めする、あるいは回転させる役割を果たしているのが丁番ちょうばんです。お城の大きな門に使われている丁番から小さな小物入れまで、さまざまな条件に応じて進化し続けている影の立て役者それが丁番なのです。

蝶番(ちょうつがい)

丁番の呼び名は、むかし和歌の中で詠われた「てふつがい」からきています。
蝶の雄と雌のつがいと詠まれた時代から蝶番と書かれていましたが、現在では丁番という書き方が主流となっています。(諸説ありますが)

大きな扉を動かすために丁番はなくてはならないもの

むかし大切な金品は、大きな蔵に保管されていました。その蔵の大きな扉は安全を保つためにとても厚くて丈夫な扉が、備え付けられていました。
そのため扉は重くその重さに耐える丁番が必要とされていたのです。

丁番を科学する

大きな扉は地球の重力により地面に向かい引きつけられているのですが、その荷重に対し、丁番は縦の丸い棒を中心に開け閉めに負荷のかからない状態を作り出しているのです。
その代わりに丁番には回転する丸棒で繋いでいる金属部に強度がもとめられるのです。
これをコマに例えると重いコマでも、荷重の加わる部分を小さくすることにより回転方向の力が軽減されるのです。

重い扉が軽く動く仕組み

機能に応じて開くさまざまな丁番

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実は、丁番の機能は他でも活躍しています

an188_1_07メガネフレームの折りたたみ部分、人形の関節、人工関節、バインダーなど2つのパーツを繋ぐ役割として丁番の機能が使われているのです。

ドイツから始まったスライド丁番

発祥は旧西ドイツで、1962年に開発されました。それから3年後に日本に入ってきた後、1969年ころ国産化に踏み切ることとなり、1971年、アトムの前身である高橋金物が国産第一号のスライド丁番を発売しました。

進化するスライド丁番

an188_1_08扉の開閉を手助けするスライド丁番は隠れた扉の主役。取り外しができ取り付けてからでも扉の傾きなどの微調節が可能。そしてなによりも丁番の中に収納された油圧ダンパーで扉が閉まる時の衝撃を軽減しているのです。

出典:アトムニューズ188号 9-10ページ
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