玄関の「取手」

皆さんが外から帰宅するとき、一番はじめに遭遇するのが実はドアの取手です。冬に乾燥した手でドアに触れたとき、突然起きる静電気のショックを感じるドアの取手です。空間を閉じている扉は西洋から入ったドアの「取手」と日本の引き戸に付く「引手」とは、おのずと違いがありますが、これらを少しひもといてみたいと思います。
とっては「取っ手」「把手」などと書きますが、ここでは「取手」としています。

ドアの取手の仕掛け

取手(ドアノブ)はドアを開けるのになくてはならない存在です。取手の中身は隠れているので、見ることができませんが、金属の細かな仕組みのおかげで何気なく開け閉めできているのです。

丸いドアノブは消えてなくなるかもしれません

カナダのバンクーバーでは新規の建物からは、丸形のドアノブを禁止する法律が施行されました。
その理由は、ユニバーサルデザインにあります。
丸いドアノブは回転させるときに握力が必要となるため、高齢者や身体の不自由な人にとっては操作しにくいのです。
それが問題となり、この法律が通ったのです。

引手という取手

日本式の引き戸で考えるとき、引き戸は2枚の戸が交互に狭い溝の上で動くので、取手のような突起物を使うことができません。そこでそのかわりに、引き戸には窪みを彫り「引手」が埋め込まれています。

天井にある取手

家の天井にある取手は長い金属棒の先端で取手金具をひっかけ、天井の扉を開くことで、ハシゴが出てくるタイプの取手。
(埋め込み取手とも呼びます)

床にある取手

脱衣所やキッチンの床に四角いフタのある床下収納がありますが、この取手は通常平たく突起が出ていません。
しかし開けるときには、指で取手の金具を押し出して取手とし、持ち上げることができるのです。

マグネット方式の取手

取手に突起がなく、軽くガラス戸を押すとマグネットで止まり、また再度開ける時にはガラス戸を押すと開けることができるのです。これはボールペンのノック式の仕組みと同じです。

これから取手はどうなっていくのか?

近未来的な映画では、ドアが自動で開くシーンをよく見かけます。
エレベーターの扉、ビルの玄関扉、研究室の扉なども自動で開いています。自動でドアが開く場所は、ますます増えていくことでしょう。しかし、私としては遊び心のある、レトロで抗菌作用のある銅の取手も捨てがたいですね。

出典:アトムニューズ187号 7-8ページ
「アトムニューズ」バックナンバー