黒檀(コクタン)

黒檀の原産地はインドネシアなどの東南アジアの熱帯気候地帯で、唐木(からき)の一種です。文字通り、容姿は黒く、重硬で光沢があるのが特長です。黒檀は、私たちの普段の生活ではあまり目にすることはありませんが、高級なピアノの黒鍵や箸など、何気なく姿をあらわしています。
日本では仏壇や仏具、床柱の材料として珍重されてきました。中国では昔、黒檀や紫檀は、歴代の皇帝や権力者だけが使うことを許されていた高級材として知られています。昭和の初期、ある豪邸の建築の際、杉角材の表面に6ミリほどの黒檀を上手に貼ったまがい物の床柱をつかまされたという話もあります。昔から高価で珍重されてきた木材が黒檀です。

監修 石塚典男(木香家)

出典:アトムニューズ213号 8ページ
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