素材を知る「ガラス」

透けて見える素材の正体は?

ガラスの特性は、透明な素材でありながら部屋と外を仕切ることができる点にあります。では、人類はいつ頃からガラスを使い始めたのか?それは紀元前17〜18世紀頃で、古代メソポタミア人により装飾品などとして人工のガラスが作られていたようで、古代バビロニアの遺跡から出土した粘土板に楔形文字でガラスの製造方法が記されています。また、エジプト文明の中で、フェニキア人により製造方法が伝わり、エジプトではガラス製造の基本の材料に酸化コバルトの「青」と酸化クロムの「緑」と酸化マンガンの「紫」を混ぜて色を加える方法を使いこなしていました。
本来の珪砂けいしゃには鉄分が含まれているので、そのままガラスにすると緑がかってしまいます。エジプト人はそこに二酸化マンガンを加えることにより無色化することもすでに知っていたようです。
通常、ガラスの中心となる成分はシリカ(珪酸)で、原材料は珪砂・ソーダ灰・石灰などですが、これらを約1,500度の高い温度で溶かして混ぜ合わせることによりガラス板に作り上げます。
カットガラスは基本の材料に鉛を混ぜてつくりますが、高温にも耐えられる石英ガラスには珪砂だけを使用します。板ガラス(フローティングガラス)はすずを溶かした大きな溶解窯の中に高温の赤いガラスを浮かべるととかされている錫によって表面が平らになります。その後ローラー・コンベアーでガラスが引き出されていくと、上面と下面が磨いたように透明感のある窓ガラスが完成します。

出典:アトムニューズ191号 8ページ
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