素材を知る「金」 Part1

金はなぜ人を魅了するのか?

これまで金は、富の象徴として装飾品などに使われてきました。その理由のひとつとして、金が他の金属とは違って標準酸化還元とイオン化傾向が最も低い値を示すこと、つまり経年劣化が非常に少ないため、不死の象徴としても認識されてきたことが挙げられます。
金は海中の熱水鉱床として誕生しますが、鉱床は長い時を経て隆起・風化し、金鉱として(砂金が)取り出されます。軟らかく、比重が高いうえに重く、光沢があり、また非常に薄くのばすことができる(たとえば1グラムの金を薄く延ばすと長さ3,000mまで延ばすことができる)といった特性を持ち合わせた特殊な金属といえます。
金は古代から硬貨としても使われていましたが、ほかの金属を混ぜ合わせることなく、純金のままで金貨として使われることが多い点ではほかの金属と異なっています。また、自然界の金鉱で採掘される金にはわずかですが銀の成分も含まれています。
金の特性のひとつに、その色が挙げられます。「まばゆいばかりの黄金の光」などと形容されますが、金の色はプラズモン周波数という金属ナノ粒子(金コロイド)が影響して、黒や青色、また緑や紫色に見えたりもするのです。さらに金は、熱や電気の伝導性にも優れ、加えて空気に侵食されず、熱や湿度などによる腐食に対しても強い力を秘めています。
これらの特性からも、金がいかに使いやすく貴重な鉱物であるかを理解することができるでしょう。

出典:アトムニューズ190号 10ページ
「アトムニューズ」バックナンバー