素材を知る「銅」

銅の持つ抗菌性と電子回路

一般住宅内の配管は、現在ではおもに塩化ビニール被覆銅管(銅管の外部に塩化ビニールを巻いたもの)が使われていますが、昔は銅が使われていました。その理由は柔軟性と、もうひとつ、その抗菌性です。つまり、昔から自然に、人類は抗菌作用のある金属を利用して水を摂取していたのです。またすでに紀元前7〜8世紀には貨幣コインとして抗菌作用のある銅が使用されていたのも人類の知恵でしょう。
現代でもますます銅の利用価値が上がっています。それはスマートフォンからパソコンにいたるまであらゆる電化製品にICチップが使われていることからもわかります。アルミニウムが使用されている時期もありましたが、基盤のシリコンと銅線の間にバリアとなる塗料が採用されて以降、銅の使用頻度が再び増えているのです。
かつては銅の腐食の緑青ろくしょうは、毒性のある危険物とされていましたが、ある東大教授の研究結果により、緑青は人体に影響ないことが確認されました。よく考えてみると、銅で葺いた屋根もきれいですが、西洋の建物が100年以上経過後も、緑青で皮膜が作られ、美しい外観が維持されていることをみると、いかに銅が優れているかがわかります。
銅の抗菌性、電導性、耐塩害に対する効果は絶大で、海底ケーブルに使用されるなど、宇宙から海底まで電気系統を保護する役割を銅は担っているのです。

出典:アトムニューズ188号 10ページ
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