素材を知る「銅」

文明を作った青銅

古代において、銅は文明の礎を築いたと言っても良いかもしれません。1万年以上前の人類が銅と巡り合ったのは、むき出しになった銅の赤みを帯びた自然な銅の塊だったでしょう。
その塊をたたいて加工することができる、とても貴重なものとなったはずです。その後、この銅を加熱し錫を入れることにより(銅7:錫3の割合)、銅の弱点であった軟弱性を補うことができました。この『青銅』はさまざまな文明の中で花開きました。メソポタミア文明、中国では殷の時代、そしてエジプト時代へと突入していき、青銅は農機具として、器としてまた装飾品として、またさらに武器として各地域の文明に大きな変革をもたらしました。
エジプト時代になると、武器が青銅からより強固な鉄へと変化してゆきました。また大航海時代になると銅は、塩分による帆船の船底腐食を防ぐために銅の塗料が塗られ船底版を塩害から守っていました。
さらにこの塗料は、港で停泊中、船底に貝などが付着するのを防ぐこともできました。現在でも多くの船は、海水でさびない特性と、そして柔軟性と強度から白銅スクリュー(銅とニッケルの合金)が採用されているのです。また船にはネジにいたるまで銅が使われています。

出典:アトムニューズ187号 8ページ
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