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ステンレス鋼(Stainless steel)とは文字通り、「さびない、汚れない」という意味です。ステンレスほど急速に近年一般化した素材の例はあまり見当たりません。安定した需要の伸びの理由は、やはり「腐食に強く、外見に勝り、強度に優れる」という三拍子そろったステンレス鋼の持つ特性が広く評価されるようになったからだと思われます。
ステンレスと言っても実は色々な種類がありますが、大別するとクロム系が2種類、クロム・ニッケル系が1種類の合計3つになります(上掲表「ステンレス鋼の種類」ご参照)。それぞれの特性はかなり違ったものです。最も標準的なのがクロム18%、ニッケル8%を含む18−8ステンレスです。実はここ数年の傾向として、汎用素材として主流を占めていたこの18−8ステンレスは、むしろ減少の兆しです。その代わりとして最近特に顕著なのが、含有量を変えたステンレス鋼の受注です。
例えば、典型的なものとして関西国際空港旅客ターミナルビルの「スーパーステンレス」があります。クロムの含有量を30%に高め、モリブデンも2%加えて耐蝕性を強くしたものです。潮風にも負けない耐蝕性への要求からです。千葉県幕張メッセの大展示場の屋根も、クロム22%、モリブデン10%を加えたステンレスになっています。
今年(平成8年)完成して話題を呼んでいる東京都の臨海副都心の、東京国際展示場でも屋根材はステンレスで施工されていて、いまや臨海部の大建造物はステンレスが主流の観を呈しています。また、私たちの住生活の面でも物干し台、伸縮竿、炊飯器材などヒット商品が続出して、強い、清潔、保ちがよい─というポピュラー材として広く普及しています。
金物分野でもその特性を活かして、積極的に応用しています。以前は普通鋼であったものをステンレスに改善していくものが多数あります。その多くはJIS適合のSUS−304またはSUS−430が用いられています。皆様もお仕事の際一寸細かく観察して頂ければ、取り付けネジ1本に至るまでステンレスが金物部品の分野でも活躍していることがお分かり頂けるものと思います。
素材の輸出ということは資源に乏しい我国では例外に属することですが、ステンレス鋼の輸出は特筆に価します。鋼鉄大手11社の受注量の筆頭は輸出で、全体の1/4を超えて27.8%に達しています。まさに国際商品と申してよいでしょう。内需分野では家庭用および業務用機械・器具が13.3%を占め、次いで建設用10.2%、産業用機械・器具の5.9%など、言うなれば「使われていない分野は、まず無い」というように考えてよろしいかもしれません。
ステンレスの特性を活かして、私たちの生活全般の機能化が進めば進むほど、1912年に発明された当時の「夢の素材」はまた新しい含有量の研究がなされて、ますます期待される未来素材として発展していくのではないでしょうか。
(吐夢僧也)
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