skip to Main Content

ドア・引戸・折戸などの建具金物、クローゼットなどの収納の金具や家具金物など「住まいの金物」の製造、販売。

ステンレスのミニ知識

(イ)ステンレス鋼の特徴

ステンレス鋼とは13%以上のクロムを含んだ鋼のことで、大別してクロム系とクロム・ニッケル系とがあります。
クロムは不思議な物質で、鉄のなかに入ると表面に100万分の3mmという薄い膜を作って、さびを防ぎます。この膜はたいへん強く、たとえ壊れてもまわりに酸素があればすぐに再生します。
この新しい鉄は1912年に発明され、「さびて汚れない(Stainless)鋼」と名付けられました。
なお、現在、ステンレス鋼の種類は100種以上あるといわれています。

55bloba

(ロ)ステンレス鋼の種類

ステンレス鋼は下表のように組織と成分から3種類に分けられます。一般に、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系の順に錆びにくく上等とされています。ところが強度から見るとその反対にマルテンサイト系が最も強く、オーステナイト系が最も劣ります。

マルテンサイト系  フェライト系 オーステナイト系
代表的組織 13%クロム 18%クロム 18%クロム
8%ニッケル
J. I. S SUS410 SUS430 SUS304
耐 蝕 性
磁   性
熱処理により 硬化 硬化せず 硬化せず
用   途 ボルト、ナット、ネジ、
手動工具、釣り道具、
刃物、はさみ
建築金物、蝶番、手すり、
屋根ふき材、レンジフード、
熱交換器
炭素含有量が少なく、加
工性・溶接性・耐蝕性が
良好で最も広く用いられ
ています。
建築金物、自動車車輌
工業、化学工業、原子力
工業

アトムニューズ平成8年11月号 からの抜粋記事

さびず、強く、美しく

ステンレス鋼(Stainlesssteel)とは文字通り、「さびない、汚れない」という意味です。ステンレスほど急速に近年一般化した素材の例はあまり見当たりません。安定した需要の伸びの理由は、やはり「腐食に強く、外見に勝り、強度に優れる」という三拍子そろったステンレス鋼の持つ特性が広く評価されるようになったからだと思われます。

ステンレスと言っても実は色々な種類がありますが、大別するとクロム系が2種類、クロム・ニッケル系が1種類の合計3つになります(上掲表「ステンレス鋼の種類」ご参照)。それぞれの特性はかなり違ったものです。最も標準的なのがクロム18%、ニッケル8%を含む18-8ステンレスです。実はここ数年の傾向として、汎用素材として主流を占めていたこの18-8ステンレスは、むしろ減少の兆しです。その代わりとして最近特に顕著なのが、含有量を変えたステンレス鋼の受注です。
例えば、典型的なものとして関西国際空港旅客ターミナルビルの「スーパーステンレス」があります。クロムの含有量を30%に高め、モリブデンも2%加えて耐蝕性を強くしたものです。潮風にも負けない耐蝕性への要求からです。千葉県幕張メッセの大展示場の屋根も、クロム22%、モリブデン10%を加えたステンレスになっています。

今年(平成8年)完成して話題を呼んでいる東京都の臨海副都心の、東京国際展示場でも屋根材はステンレスで施工されていて、いまや臨海部の大建造物はステンレスが主流の観を呈しています。また、私たちの住生活の面でも物干し台、伸縮竿、炊飯器材などヒット商品が続出して、強い、清潔、保ちがよい─というポピュラー材として広く普及しています。

金物分野でもその特性を活かして、積極的に応用しています。以前は普通鋼であったものをステンレスに改善していくものが多数あります。その多くはJIS適合のSUS-304またはSUS-430が用いられています。皆様もお仕事の際一寸細かく観察して頂ければ、取り付けネジ1本に至るまでステンレスが金物部品の分野でも活躍していることがお分かり頂けるものと思います。

素材の輸出ということは資源に乏しい我国では例外に属することですが、ステンレス鋼の輸出は特筆に価します。鋼鉄大手11社の受注量の筆頭は輸出で、全体の1/4を超えて27.8%に達しています。まさに国際商品と申してよいでしょう。内需分野では家庭用および業務用機械・器具が13.3%を占め、次いで建設用10.2%、産業用機械・器具の5.9%など、言うなれば「使われていない分野は、まず無い」というように考えてよろしいかもしれません。

ステンレスの特性を活かして、私たちの生活全般の機能化が進めば進むほど、1912年に発明された当時の「夢の素材」はまた新しい含有量の研究がなされて、ますます期待される未来素材として発展していくのではないでしょうか。
(吐夢僧也)

アトムニューズ特別号 「疲れた時に読むアトムの硬い話」

「さびる」「さびない」

「鉄はさびる」とか「ステンレス鋼はさびない」とかいいますが、「さび」とはなにかといいますと、「酸化被膜」すなわち金属が酸素などと化合した化合物のことです。

銅のばあいは緑青色の酸化被膜ができ、鉄のばあいは赤茶色の酸化被膜ができるということになります。ステンレス鋼のばあいは「さびない」のではなくて、その表面にできる酸化被膜、つまり一種のさびである透明で薄い膜が安定して変化しない状態になっているということです。
アルミニウムのばあいも、やはりごく薄い酸化被膜ができ、この被膜が緻密で無色透明で、しかも地金に固く密着しているのです。

クロム、ニッケルなども同様です。

同じ「酸化被膜」でも、さびといわれるものと、さびないといわれるものとがありますが、その区別は「きれい」か「きたない」かということによるようです。

 

Back To Top